第7回 暮らしの場所 ひと手間のあと (2010.08.17)
朝からだはもう リズムを知っていて
リズムにあわせて 寝起きすると
気持ちもしゃんと 風とおしよくなる
うれしい かなしい
おなかへった ねむたい
からだや気持ちの リズムにあわせて
かおをあらう 歯をみがく
がらがらをする にっこり笑う
いってきます とかけだす小学生みたいに
いってきます と一日がはじまる

第7回 暮らしの場所 ひと手間のあと
家づくりがはじまったら、あとは大工さんにまかせるのかなと思っていたら、ユーゴはじぶんでもあれこれ手を動かす気まんまんだった。

前回、ウールの断熱材を(職人さんにお願いして一部分だけ)壁の内側に取り付けた。
もう壁ができあがっている(上の写真)が、中にはじぶんたちでやったウール断熱材が詰まっている。これからこの家に住みはじめ、時々この壁をみて、
「ああ、あのときのふわふわの毛だまりみたいなのが、いま家をあったかくしてくれてるんだなぁ」
なんて思ったりするのだろう。
今回は、洗面台だ。
ゴールデンウィークにユーゴから電話がかかってきて、連休中にタイルを埋めるから来て、とのたまう。
行きたい。行けない。だって予定が入ってるんだよ、ユーゴちん。。と話したら、連休明けでいいよ、と言う。
タイルを埋めるってどういうこと? と思いつつ、行ってみるとこんなこと(下の写真)だった。すでにいろんな色の木製タイルが洗面台にモザイクされていて、目地をパテ埋めしてから防水加工をするのだそう。
というわけで、ぼくが目地に沿ってマスキングテープを貼り、そこにユーゴがパテを埋める、という地道な作業に乗り出した。パテといえば、小・中学時代にプラモデルを作るときに使ったなぁ、そういえばと懐かしくなった。

ぼくらの作業はパテ埋めまで。仕上げの防水加工はプロまかせ。つまり、職人さんがサッとやってしまいたいところを、「じぶんでやりたい!」と待ってもらって、わざわざ工程の手間を増やしているということ。それをするには実は目立たないけれど勇気が必要で、プロの職人さんたちにソンナ素人ノ遊ビみたいなことをお願いしなくちゃならない。施主だからいいじゃん、ということではなくって、そこは話をつけなくてはいけない。ひと手間、ふた手間。
そうやって身を乗り出して家づくりに関わろうとは、ふつう思わないかも知れない。ちらっと思っても、なかなかできない。でもやってみると、意外と受け入れてもらえることがあるんだとわかった。
パテ埋めしてると、どれどれ?と職人さんがのぞきにきた。にこにこしている。楽し気なタイルの洗面台だけど、やってるときは真剣なのだ。それが伝わったんだろうか?
後日できあがった洗面台は、やっぱりちょっと素人っぽいかもしれないけれど、ぼくも手伝ったせいか、とっても可愛く見えて仕方ない。家への愛情がかたちになった場所だと思う。ユーゴたち家族が、ここで毎朝顔を洗ったり歯をみがいたりするんだなぁ、きっと。

ほんのちょっとのポイントでもいいから、どこかにじぶんの手のあとをつけておく。そうすると、家が不思議な表情になって、じぶんが住む場所になっていく。そのためだったら、えいっと勇気を出して、やりたいことをやってみたいと相談してみるのってありだ。だって、じぶんがずっと住む場所なんだから。

(つづく)
写真・白井明大
登場人物
ユーゴ;クリエイター、touta.主宰、次世代まで繋がるような提案を…をコンセプトに活動中! 2003年、「イメージを覆すような布ナプキン」をmother dictionaryで連載。LOVE49?プロジェクト呼びかけ人。著書に「アイヌ文化から大切なものを学びとる旅」(touta.)、「布ナプキンの本」(エスプレ)http://www.touta.org/

