case study13
「母子保健から見る世界」石井澄江

第6回 『mother meets JOICFP』への声


「世界では1分に1人の女性が妊娠出産が原因で命を落としている」そんな現実を始めとした世界の母子保健の現状をジョイセフの活動から見つめた『mother meets JOICFP』*1。この冊子のメッセージは読者の方々にどう受け止められたのか。一度そのことに目を向けたいと、アンケートハガキの返信、ジョイセフにアクセス下さった方の中から、永吉ゆ希さんに『mother meets JOICFP』との出会い、そこから生まれたものについて執筆頂きました。(編集)


MEETS MYSELF/永吉ゆ希

仕事中に同僚が「見る?」と私に手渡したもの。それが私の初dictionaryで、『mother meets JOICFP』と書いてあった。 私は大学進学時に教師と看護師の選択で迷い、結局教師を目指した。でも在学中も迷いは続いた。教師は看護師にならないことの「逃げ」だとどこかで感じていたからだ。しかし卒業後、教師にもならず、別の仕事に就いた。また新たな「逃げ」を生んでしまった。
4年半、私は自分とも自分を取り囲む人とも向き合えずにいた。そして偶然手にしたdictionary。平たく言えば“運命的な出会い”をしたと言うことになるのだろう…。産まれること、生きること、死ぬことに貪欲になれない人々をまた知った。他の要因も重なり、私は「今がその時?」と思った。“今”を目に見えるものにしようとJOICFPから出産キット*2を取り寄せ、約一ヵ月後、高看を受験した。
今、私は18、9歳の子達に混ざり看護師を目指している。でも、彼らと同じように苦しみや痛みの中にある人を助けたいとか、役に立ちたいという高い志は恥ずかしながら無い。あるのはただ、生きようとしている人や、生きることを阻害されている人に私自身を以って私の全てを捧げたいという想いだけなのだ。そこで必要とされるものを得る為、看護師になろうとしている。
これから先、迷いが生じたらページを捲るだろうな…と思う。背中を押してくれたdictionary。私には、あの表紙は『I meet JOICFP and myself』だった。(2003/10/10)



*1 開発途上国の母子保健の向上を目指し、長く活動を続けているNGO(財)ジョイセフの活動を紹介したdictionary別冊。2002年12月発行。「第1回 対談:石井澄江×桑原茂一」は誌面よりの抜粋。ぜひご覧下さい。



*2 『mother meets JOICFP』で紹介したネパールで使用されている「家庭用出産キット」 ネパールでは、専門的技術を持つ人の立ち会いの下での出産は9%、しかも殆どが自宅分娩であり、妊産婦死亡率は日本の80倍(出生10万対830)。「家庭用出産キット」は出産時の感染から母子を守るためのアイテム(石鹸、へその緒を切るためのかみそり、シート等)が小箱に納められ、市場などで入手できるようになっています。




永吉ゆ希
1979年鹿児島県生まれ。鹿児島大学教育学部保健体育科卒。専門種目は柔道だが水泳のほうが得意。現在、鹿児島市立高等看護学校に在籍。助産師になるのが当面の目標。最近、その動向が気になるのはJICAの初代理事長に就任された緒方貞子さん。彼女の行動力に強く憧れる。しかし最も尊敬し愛すべきは私を産み、育ててくれた(現在進行形だが…)母である。いつか、私も母のような母になれたらいいな…と思う。

<ジョイセフURL>
http://www.joicfp.or.jp/






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