case study19 第5回 息子の冒険

 
ミモザ
ミモザ

今年は例年よりも一ヶ月も早く咲きました。
3階にまで届くほどの大きなミモザ。
下から見上げると感嘆のため息がでるほどです。

阿佐ヶ谷住宅をデザインされたチームは自然な風景を目指したそうで
木々の種類や植え方も統一性がありません。
50年近い年月の間に鳥たちが運んだ種もあり、その風景は自然そのものです。
この「ミモザ」もかなりの樹齢だと思います。

邪魔されることなく風にゆられている様は本当に見事。
地球を大切にできない人間たちをよそに誠実に咲いています。
色鮮やかな勇姿に励まされさえします。
今の予定では来年は咲けません。
最後なのだなーと思うと、木の下から見上げる度に樹木を撫でてしまいます。

 
ジャングルジム
ジャングルジム

お砂場、すべり台、ブランコと楽しめることが増えてきて、
2歳半になった息子の最近の楽しみは「ジャングルジム」。
もちろん登れはしませんが、頭を低くして注意深く出口から出口へと迷路のように歩きます。
上手にジャングルジムから脱出できた時は満面の笑みです。
拍手さえ求められます。

最近、その後のお楽しみができました。
「木のジャングルジム」です。
脱出が上手くいくとスタスタと足早に木のジャングルジムに向かいます。
ただ、木が密集して生えているだけなのですが、
息子にとってはジャングルジムなんだそうです。
注意深くすり抜けて、また満面の笑みです。

 
白い壁
白い壁

阿佐ヶ谷住宅の好きな所に「白い壁」があります。
長い年月の間に補修をされたりして、同じ白でも微妙に色が違ったところも。
そんな違いも味わい深さを手伝っています。

息子を立たせて写真をとったり。
木々がつくる造形に惚れ惚れしたり。
意図した訳ではないのに白い壁の前では絵になる光景ばかりです。

 
息子の冒険
息子の冒険

秋の散歩の時は「どんぐり」を拾いに行くのが楽しみだった息子。
今は「きんかん」を収穫するのが晴れた日の大きな目標です。
収穫することは息子にとっての重要な任務で、
いつのまにか「探検」ということになりました。
「探検に行こうよ」と息子に誘われて、外にでると、
きんかんの木まで足早に歩いていきます。
きんかんを採る時に息を飲むように集中しているのが伝わり、私まで息を飲んでしまいます。
収穫したきんかんはお父さんに見せて、もう少し量がたまったら蜜煮にしてもらう約束です。

 
春の始まり
春の始まり

今年はかなり早い春の訪れでしたが、梅が咲くと「始った!」と色めきだちます。
梅が咲いた後は木々が一斉に芽吹きます。
桃、モクレン、たんぽぽ、ミモザ、桜、ツツジ、山吹、雪柳、紫陽花…と
途切れることがありません。
見逃したくなくて、お散歩の時間もついつい長くなってしまいます。

今年はふきのとうが大きく育っています。
あまりの春の訪れの早さに食べれる時に収穫されなかったようです。

 
阿佐ヶ谷住宅の畑
阿佐ヶ谷住宅の畑

阿佐ヶ谷住宅の話をする時に「蛇(アオダイショウ)やモグラもいるんです」と
良くお伝えします。
もちろん「ええー!」と驚かれることも多いのですが、
その後に「それでは、土が良いんですね。」と言われたことがありました。
畑もあったのかなと同じ長屋型テラスハウスに長く住む方にお伺いすると、
阿佐ヶ谷住宅の全盛期の時はあったそうです。

陽当たりも良いので、かなり本格的な野菜が収穫できたとか。
伺った畑があった所に足を運んでみると、やはり畑の跡地のような場所でした。
大きな木々もないので根がはっておらず、
素人の私でも「ここに何か埋めてみようかな」と感じる土の色でした。
良く見ると、葱が育っていました。
あまりの大きさに昔はさぞかし立派な野菜が収穫出来ていたんだろうなーと
羨ましい気持ちになりました。

阿佐ヶ谷住宅全盛期の時は広場で運動会ができる程の子供達がいたそうです。
陽当たり、緑、風があって、公園、畑もあって。
どれだけ心が豊かになっただろうと感じます。
阿佐ヶ谷住宅で育った子供達がマンション化への選択を選んだと伺いました。
阿佐ヶ谷住宅の建設に携わった方々が
この阿佐ヶ谷住宅について語りたくない理由がわかった気がします。

 
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