case study20 「学ぶことは心に翼をもつこと。」
第3回 愛国心について、考えてみよう
 

 教育基本法が改正されると、第二条に教育の目標、達成すべきこととして「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という新しい内容が追加されます。国を愛する「態度」が目標になり、評価の対象となるって、どういうことなのでしょうか? 

 愛国心がないと国が弱体化するというけれど、本当にそうなのでしょうか? 誰かの意見に惑わされることなく、ここはひとつ自分の心と向き合って考えてみましょう。

 私自身は、愛国心と言われてもピンときません。家族を愛する気持ちは理解できても、国を愛することはできない。もちろん、サッカーのワールドカップでは日本を応援するけど、それは、自分の子どものサッカーチームを応援するのと同じ感覚です。どちらかというと、日本チームより子どものチームを応援する熱のほうが高い気がします。

 子どもの学校では、日本各地の民舞を教えてくれます。青森の荒馬、アイヌのウポポ(踊り)、岩手の七頭舞、沖縄のエイサー……。どの踊りも豊作や平和を願って人々が踊り継いできた伝統の舞い。踊ることで、そこに生きてきた人たちの思いを感じることができる、言葉や理論を超えたコミュニケーションが踊りにはあります。それはとても貴重な体験です。そんなふうに地域や伝統とつながることはとても大事なことだけど、それは郷土愛とはまた違う、ひとつの学びの形です。ハワイに行ったら、波の音を聴きながらスピリチュアルなフラダンスを踊ってみたいと思うし、バリの夕闇の中でガムランの調べに酔うのも至福なんじゃないかと思います。

 命を育む地球を愛せよ、というのならばわかります。出産のとき、地球を感じ、潮の満ち引きと同調し、地球のリズムを感じた母たちも多いことでしょう。あれは、無条件で地球を愛したくなる瞬間でした。

 愛国心と関係なく、脈々とつながる命を想う、平和や幸せを願って、大地にしっかりと立つ、というのではだめなのでしょうか? そのために何ができるかを考え行動していけば、教育基本法の第一条の「教育の目的」に記されているように、「平和な国家及び社会の形成者として、心理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民」となれるのではないかと思います。

 この愛国心に関しては、100人いれば100通りの思い方があると思います。海外で暮らして、たえず日本人というアイデンティティを問われている人、日本で生まれた外国籍の人、国際結婚をしている人、みんなで日本を、そして世界を作っているのだと思います。自分なりの「愛国心」、この機会にじっくり考えてみてはいかがでしょう。

学ぶことは心に翼を持つこと。
 教育基本法第二条(教育の方針)には、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」とあります。ここには、具体的な教育目標や内容は記されていません。いわば教育に向かう姿勢や態度が示されているのです。「実際生活に即し」とあるのは、教育の中身が実際の生活からかけ離れてしまうことのないように、記された言葉。たとえば、ナショナリズムなどの実態のない感情に煽られて、ある方向に進んでしまうことなど、教育による社会統制を避ける法律でもあるのです。どうしてこの法律を、強行突破の形で変えなくてはいけないのか、疑問はつのります。
 
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